「もしかして、私もおばさん体型…?」と感じているなら、その原因と対策を知ることで、今からでも体型を変えることは十分に可能です。
この記事では、なぜ体型が変化するのかという科学的な理由から、体型が崩れない人が実践している具体的な生活習慣、そして今日から始められる簡単な改善プランまでを徹底的に解説します。

この記事の監修者
近藤 好美
ORIENTAL GREEN 銀座インディバ
オーナーセラピスト/インディバスーパーバイザー
セラピスト歴25年、インディバ施術歴20年以上の経験を持つ、身体のラインとコンディションを整えるプロフェッショナル。これまでに3,000人以上の身体の悩みに向き合い、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの施術を提供。
目次
そもそも「おばさん体型」とは?セルフチェックできる7つの特徴
「おばさん体型」とは、単に太っている状態ではなく、加齢に伴いボディラインのメリハリが失われ、全体的に丸みやたるみが目立つようになった体型を指します。
体重は変わらないのに、なぜか昔と見た目が違う…その正体は、身体のシルエットの変化にあります。
まずは、以下のチェックリストでご自身の状態を確認してみましょう。3つ以上当てはまる場合は、体型が変化し始めているサインかもしれません。
【おばさん体型セルフチェックリスト】
- 下腹がぽっこりと前に出ている
- 腰のくびれがなくなり、寸胴に見える
- ブラジャーの上と下に、背中の肉がはみ出している
- お尻と太ももの境目があいまいで、全体的に垂れて見える
- 二の腕を振ると、お肉が揺れるのが気になる
- 全体的に丸みを帯び、洋服で隠してもラインがごまかせない
- 体重は変わらないのに、以前着ていたスカートやパンツがきつい

近藤 好美
ORIENTAL GREEN
サロンにいらっしゃるお客様も、これらの項目を気にされてご相談に来る方が本当に多いんですよ。
でも、これは「もうダメだ」という判定ではなく、「身体がケアを求めている」という大切なサインなんです。ご自身の身体の変化にきちんと気づけたこと、それが美しくなるための最初の、そして一番大切な一歩ですから、安心してくださいね。
なぜ?おばさん体型になる3つの根本原因
体重計の数字は変わらないのに、見た目が変わってしまうのは、体の中身、つまり「体組成」と「姿勢」が変化しているからです。
この現象には、主に3つの科学的な理由が関係しています。
原因1:筋肉の減少と基礎代謝の低下
私たちの体は、何もしなければ20代をピークに筋肉量が少しずつ減少していきます。筋肉は脂肪よりも体積が小さく、多くのエネルギーを消費する組織です。
そのため、筋肉が減って脂肪の割合が増えると、同じ体重でも体がたるんで大きく見えてしまい、さらに太りやすく痩せにくい体質になってしまうのです。
この状態は「サルコペニア肥満」とも呼ばれ、40代以降の体型変化の大きな原因とされています。

参照元:厚生労働省「加齢とエネルギー代謝」アクティブシニア「サルコペニア肥満とは?」
原因2:女性ホルモン(エストロゲン)の減少
女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、内臓脂肪の蓄積を抑え、皮下脂肪として体に脂肪を蓄える働きがあります。しかし、40代頃から始まる更年期に向けてエストロゲンの分泌が減少すると、これまでつきにくかったお腹周りに内臓脂肪がつきやすくなります。
これが、ぽっこりお腹や寸胴体型の原因となるのです。これは生理的な変化であり、日本女性医学学会などでも更年期世代の女性に見られる身体的変化として報告されています。
参照元:循環器情報サイトAssist「エストロゲンの脂質に対する生理作用と更年期以降の女性の脂質異常症に対する指導のポイント」
原因3:長年の癖による「姿勢の崩れ」
デスクワークで猫背になったり、つい脚を組んでしまったり。こうした長年の無意識の癖が骨盤を歪ませ、体型を崩す大きな原因になります。
例えば、骨盤が後ろに傾く「骨盤後傾」は、下腹がぽっこり出てお尻が垂れる原因に。逆に前に傾く「骨盤前傾(反り腰)」は、下腹は出るもののお尻が突き出て見え、腰痛の原因にもなります。
正しい姿勢を保つ筋力が衰えることで、こうした崩れが定着してしまうのです。

近藤 好美
ORIENTAL GREEN
まさにその通りで、私が3,000人以上の方のお身体に触れてきて感じるのは、体型の崩れの多くは『姿勢』から始まっているということです。姿勢が崩れると、ボディラインに影響するだけでなく、血流やリンパの流れも滞りやすくなり、冷えやむくみ、肩こりといった身近な不調にも繋がってしまいます。
特に長時間のデスクワークによる足のむくみは深刻な悩みの一つです。日々の姿勢を意識することは、遠回りのようで一番の近道なんですよ。
【徹底比較】あなたはどっち?おばさん体型になる人・ならない人を分ける5つの生活習慣
体型が崩れにくい人は、特別なことをしているわけではありません。日々の何気ない生活の中に、体型を維持するための「良い習慣」が組み込まれているのです。
ここでは、「なる人」と「ならない人」の決定的な違いを5つのポイントで比較します。ご自身の生活を振り返りながら、真似できるところから取り入れてみましょう。
習慣 | おばさん体型に「なる人」 | おばさん体型に「ならない人」 |
---|---|---|
食事 | 早食い、ながら食い、糖質中心 | よく噛む、野菜から食べる、タンパク質を意識 |
運動 | エレベーターを使いがち、運動習慣ゼロ | 階段を使う、一駅手前で歩く、週1の運動 |
姿勢 | 脚を組む、スマホを覗き込む猫背 | 骨盤を立てて座る、背筋を意識 |
睡眠 | 質が悪い、寝る直前までスマホ | 7時間以上の質の良い睡眠 |
インナーケア | 体を冷やす、水分不足 | 体を温める、こまめな水分補給 |
違い1:食事|「何を」「どう」食べるか
体型を維持している人は、食事の「内容」だけでなく「食べ方」も意識しています。特に重要なのが、筋肉の材料となる「タンパク質」です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人女性は1日に50gのタンパク質摂取が推奨されています。これは、鶏むね肉なら約220g、木綿豆腐なら約1.5丁に相当します。毎食「手のひらサイズ」のタンパク質を摂ることを目標にしてみましょう。
また、食事の最初に野菜や汁物を摂る「ベジタブルファースト」は、血糖値の急上昇を抑え、脂肪の蓄積を防ぐ効果が期待できます。体型維持のためには、体内の余分な水分を排出する、足のむくみを取る食べ物を取り入れることも効果的です。
違い2:運動|日常の活動量と「お尻・背中」への意識
運動といっても、ジムに通う必要はありません。体型を維持している人は、日常生活の中でこまめに動く「ながら運動」が習慣になっています。
エスカレーターを階段に変える、一駅手前で降りて歩く、といった少しの工夫が、1日の消費カロリーを大きく変えます。
特に意識したいのが、体の中でも大きな筋肉である「お尻」と「背中」。これらの筋肉を鍛えることが、基礎代謝を維持し、美しいシルエットを作る近道です。
要注意!「おばさんおしり」を加速させるNG習慣と対策
一日中座りっぱなしのデスクワークや、ペタペタと歩く癖は、お尻の筋肉を使わないため、たるみを加速させるNG習慣です。
対策として、テレビを見ながら床に座って両手で体を支え、お尻で前に進む「お尻歩き」を試してみてください。骨盤周りの血行が良くなり、ヒップアップ効果も期待できます。
違い3:姿勢|無意識の時間をどう過ごすか
体型が崩れない人は、意識的に良い姿勢を保っています。特に重要なのが「骨盤を立てる」という感覚です。
椅子に座るとき、浅く腰掛けて背もたれに寄りかかるのではなく、深く腰掛けて坐骨(座ったときにお尻の下でゴリゴリと当たる骨)に均等に体重を乗せ、背筋をすっと伸ばす。
これだけで、腹筋や背筋が自然と使われ、体幹のトレーニングになります。立っている時も、頭のてっぺんから一本の糸で吊られているようなイメージを持つと、自然と美しい立ち姿になります。
違い4:睡眠|質と量がホルモンバランスを左右する
睡眠は、単なる休息ではありません。私たちの体内では、睡眠中に食欲をコントロールするホルモンが調整されています。
睡眠時間が不足すると、食欲を増進させるホルモン「グレリン」が増え、食欲を抑制するホルモン「レプチン」が減少することが多くの研究で報告されています。
つまり、寝不足は食欲の乱れに直結し、太りやすい状態を招くのです。体型を維持している人は、7時間程度の睡眠時間を確保し、寝る前のスマホ操作を控えるなど、睡眠の「質」にもこだわっています。
参照元:京都産業保健総合支援センター「睡眠が不十分だと太ります」
違い5:インナーケア|巡りと温活の意識
体の内側からのケアも、見た目の若々しさを保つ秘訣です。体が冷えると血行が悪くなり、全身の細胞に栄養や酸素が行き渡りにくくなるため、基礎代謝の低下につながります。
体型を維持している人は、冷たい飲み物ばかりでなく、白湯や常温の水をこまめに飲む習慣があります。
また、シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで体を芯から温め、血行を促進し、リラックス効果と質の良い睡眠にもつなげています。手軽なインナーケアとして、着圧レギンスの効果的な活用法を知っておくのも良いでしょう。
年代別(30代・40代・50代)で違う?おばさん体型対策のポイント
体型対策は、どの年代から始めても遅すぎることはありません。しかし、年代ごとに体の状態や注意すべき点が異なるため、より効果的なアプローチを知っておくことが重要です。
30代:予防がカギ!代謝の低下に気づき始める時期
30代は、まだ体力もあり、少し食事を調整すれば体重をコントロールしやすい時期です。しかし、基礎代謝は確実に下降線をたどり始めています。
この時期に、週に1〜2回でもスクワットなどの筋トレ習慣をつけておくことが、40代以降の体型を大きく左右します。
また、出産を経験した方は、骨盤底筋のトレーニングを取り入れることが大切です。「産後におばさん体型になってしまった…」と悩んでいる方は、特有の原因と対策を知ることが改善への近道です。
産後のおばさん体型について詳細を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
40代:現状維持と改善!ホルモン変化への対応期
この記事の主な読者である40代は、女性ホルモンの変動が体に顕著に現れ始める「転換期」です。
食事では、筋肉を維持するためのタンパク質に加え、女性ホルモンと似た働きをするといわれる大豆イソフラボン(豆腐、納豆など)を意識的に摂ることが推奨されます。
また、ストレスはホルモンバランスを乱す大きな要因になるため、自分なりのリラックス法を見つけ、心と体のバランスを整えることが、体型維持にも不可欠です。
50代以降:健康維持が第一!骨と筋肉を守る時期
50代以降は、美容目的だけでなく、将来の健康寿命を延ばすための体づくりがより重要になります。特に骨密度の低下と、転倒リスクを高める筋肉量の減少には注意が必要です。
ウォーキングなどの有酸素運動に加え、片足立ちなどのバランストレーニングを取り入れましょう。
食事では、骨の材料となるカルシウム(乳製品、小魚など)とその吸収を助けるビタミンD(きのこ類、魚類)をセットで摂ることが、健康的な体型維持の鍵となります。
おばさん体型を改善!3ステップアクションプラン
「やるべきことは分かったけれど、何から始めればいいの?」という方のために、今日から無理なく始められる3ステップの行動プランを提案します。まずはStep1から、気負わずに試してみてください。
Step1:まずはこれだけ!今日から始める2つのこと
1.食事は「野菜・汁物」から食べる
いつもの食事で、食べる順番を少し変えるだけです。最初に食物繊維が豊富な野菜やきのこ、海藻類、または温かい汁物を口にすることで、血糖値の急上昇を穏やかにし、満腹感も得やすくなります。
2.椅子に座るときは「骨盤を立てる」
デスクワーク中や食事中、椅子に座るときは深く腰掛け、お尻の下の坐骨に体重を乗せることを意識しましょう。背もたれにだらしなく寄りかかるのをやめるだけで、腹筋と背筋が自然と使われます。
Step2:週末に挑戦!10分でできる背中と下腹のエクササイズ

週末など少し時間が取れる日に、体幹を鍛える簡単なエクササイズを取り入れてみましょう。例えば、四つん這いになり、右手と左足を同時にまっすぐ伸ばして5秒キープする「ダイアゴナル」。
これを左右交互に5回ずつ行うだけでも、背中と下腹の引き締めに効果的です。
Step3:習慣化を目指す!週2回のタンパク質意識DAY
毎日完璧を目指すのは大変です。まずは週に2日、「今日はタンパク質を意識する日」と決めてみましょう。
朝食に卵やヨーグルトをプラスする、昼食にサラダチキンを選ぶ、夕食に魚料理を選ぶなど、無理のない範囲でタンパク質を食事に取り入れることから始めてみてください。
おばさん体型に関するよくある質問
ここでは、体型に関するよくある疑問について、一般的に言われていることや研究で報告されていることを基にお答えします。
Q1. 体重は変わらないのに、なぜ太って見えるのですか?
本文でも解説した通り、これは体内の筋肉が減って脂肪の割合が増えているためです。同じ重さであれば、脂肪は筋肉よりも体積が約1.2倍大きいため、体が大きく、たるんで見えてしまうのです。
Q2. 部分痩せ(お腹だけ、二の腕だけ)は可能ですか?
残念ながら、特定の部位の脂肪だけを狙って減らす「部分痩せ」は、科学的に難しいとされています。
脂肪は全身から均等に減っていく傾向があるため、食事改善やウォーキングなどの有酸素運動で全身の脂肪を減らしつつ、気になる部分の筋トレで引き締めるというアプローチが最も効果的です。具体的な太もも痩せの方法については、こちらの記事も参考にしてみてください。
Q3. もう手遅れでしょうか…?
決して手遅れではありません。人間の体は何歳からでも、適切なアプローチを行えば必ず変化します。大切なのは、過去を悔やむことではなく、「今日」から何か一つでも小さなことを始めることです。その一歩が、1年後のあなたを大きく変えるきっかけになります。

近藤 好美
ORIENTAL GREEN
「もう手遅れ」なんてことは、絶対にありません。これは声を大にして言いたいですね。私がこれまで見てきたお客様の中には、60代からでもご自身の身体と真剣に向き合い、見違えるようにボディラインが美しくなった方がたくさんいらっしゃいます。
身体は、手をかければかけた分だけ、本当に正直に応えてくれます。大切なのは、完璧を目指すことより「今日は自分の体を温めてあげよう」といった、ご自身を慈しむ気持ち。ぜひそこから始めてみてください。
Q4. 「おばさんにならない人」に共通するマインドセットはありますか?
体型を維持している人に共通するのは、ストイックさよりも「しなやかさ」かもしれません。完璧を目指して挫折するのではなく、食べ過ぎたら次の食事で調整する、運動できない日があっても自分を責めない、といった柔軟な考え方を持っています。
体型管理を「自分を罰する義務」ではなく、「未来の自分を大切にするためのセルフケア」と捉えている点が、最大の秘訣といえるでしょう。
自分を大切にする習慣が、未来のあなたを作る
今回は、「おばさん体型」の正体とその原因、そして体型を維持している人との習慣の違いについて詳しく解説しました。
- 体型変化の主な原因は「筋肉量の減少」「ホルモンバランス」「姿勢の崩れ」の3つ。
- なる人・ならない人の違いは、食事・運動・睡眠といった日々の「小さな習慣」の積み重ね。
- 対策は、今日からできる「食べる順番の工夫」や「正しい姿勢の意識」から始められる。
体型の変化は、これまでの生活を見直し、自分の体をより一層いたわる良い機会です。この記事で紹介したアクションプランを参考に、まずは一つ、あなたにできそうなことから始めてみてください。その小さな一歩が、健やかで自信に満ちた未来のあなたへと繋がっていくはずです。