着圧ソックスは、使い方を間違えると逆効果になる可能性がありますが、ご安心ください。この記事を読めば、なぜ危険と言われるのか、その理由と安全で効果的な使い方がわかります。
「着圧ソックスは履かない方がいい」という話を聞いて、不安になっていませんか。せっかくむくみ対策をしたいのに、逆に足を傷つけてしまったら元も子もありませんよね。この記事では、多くの方の身体に触れてきた専門セラピストの視点から、安全に着圧ソックスを活用するための知識を余すところなくお伝えします。
この記事を読み終える頃には、ご自身が安全に使えるか判断できるようになり、明日から着圧ソックスの効果を最大限に引き出す使い方が身についているはずです。
この記事の監修者
近藤 好美
ORIENTAL GREEN 銀座インディバ
オーナーセラピスト／インディバスーパーバイザー
セラピスト歴25年、インディバ施術歴20年以上の経験を持つ、身体のラインとコンディションを整えるプロフェッショナル。これまでに3,000人以上の身体の悩みに向き合い、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの施術を提供。
目次
【結論】着圧ソックスが逆効果になる5つのケース
着圧ソックスは、主に5つのケースで逆効果になる危険性があります。良かれと思ってやっていることが、実はむくみを悪化させたり、血行を妨げたりする原因になっているかもしれません。まずは、ご自身の使い方が当てはまっていないか確認してみましょう。
- サイズが合っていない
- 特定の病気を持っている
- 履き方が間違っている
- 不適切な時間帯に履いている（特に就寝時）
- 肌に合わない素材を使っている
これらの項目に一つでも心当たりがある場合、着圧ソックスの恩恵を受けるどころか、かえって足の健康を損なう可能性があります。次の章で、なぜこれらが危険なのか、身体の仕組みから詳しく見ていきましょう。
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「着圧ソックスは危険」と言われる理由と身体の仕組みを解説
上記5つの危険なケースは、すべて「不適切な圧力が血流を妨げる」という一点に集約されます。
着圧ソックスが本来の目的とは逆に、身体に負担をかけてしまうのはなぜなのでしょうか。ここでは、それぞれのケースが具体的にどのように影響するのかを、身体の仕組みから一つずつ詳しく見ていきましょう。
- サイズが合っていない（強すぎる圧は血流の”ダム”になる）
- 特定の病気を持っている（専門家への相談が必須な理由）
- 間違った履き方（圧のムラが”逆効果”と”肌トラブル”を招く）
- 不適切な時間帯（”寝るとき”に日中用がNGなワケ）
- 肌に合わない素材（”かゆみ”や”かぶれ”の直接的な原因に）
私たちの足の血流は、心臓から「動脈」を通って足先に送られ、「静脈」を通って心臓に戻ります。着圧ソックスの主な役割は、この心臓へ戻る静脈の血流をサポートすることです。
しかし、使い方を間違えると、心臓から来る動脈の流れまで圧迫し、血流の”ダム”のような役割を果たしてしまうのです。これが、冷えやしびれといったトラブルの根本的な原因となります。
この大原則を頭に置いた上で、各ケースを見ていきましょう。
サイズが合っていない（強すぎる圧は血流の”ダム”になる）
サイズが合っていない、特に圧が強すぎる製品は、まさに血流の”ダム”そのものです。これが、最も危険で、多くの方が陥りがちな失敗です。
強すぎる圧力は、サポートすべき静脈だけでなく、重要な動脈の血流まで妨げてしまいます。その結果、足先まで十分な血液が届かず、冷えやしびれ、最悪の場合は血栓のリスクに繋がります。逆に圧が弱すぎると、そもそもむくみ解消の効果は期待できません。だからこそ、正確なサイズ選びが何よりも重要なのです。
参照元：埼玉県さいたま市浦和区のアキ循環器・血管外科クリニック「弾性ストッキング」
特定の病気を持っている（専門家への相談が必須な理由）
特定の疾患をお持ちの場合、通常の着圧が症状を悪化させる引き金になることがあります。ご自身の判断で使うのは非常に危険です。
例えば、心臓や血管の疾患、重度の糖尿病などの方は、もともと血流に問題を抱えているケースが多く、着圧によるわずかな血流の変化が身体に大きな負担をかける可能性があります。良かれと思って使ったことで、病状を悪化させては元も子もありません。必ず使用前にかかりつけの医師に相談してください。
間違った履き方（圧のムラが”逆効果”と”肌トラブル”を招く）
シワやたるみができたまま履くと、足に”圧のムラ”が生まれてしまいます。これも、効果が出ないどころか、逆効果になる大きな原因です。
シワが寄った部分は、意図せず圧力が集中し、そこだけが強く締め付けられる状態になります。その結果、全体の血流サポート効果が損なわれるだけでなく、皮膚への過度な刺激となってかゆみや色素沈着を引き起こすことがあります。「効果がない」と感じる方は、一度ご自身の履き方を見直してみてください。
不適切な時間帯（”寝るとき”に日中用がNGなワケ）
日中用の着圧ソックスを就寝時に使うのは、絶対にやめましょう。「寝るときによくない」と言われる最大の理由がここにあります。
立ったり座ったりしている日中と、横になっている就寝時では、身体にかかる重力や血流の状態が全く異なります。日中用は、その重力に逆らって血液を心臓に戻すために、比較的強い圧力で設計されています。これをそのまま就寝時に使うと、身体にとっては過剰な圧力となり、血行を妨げる危険性があるのです。
必ず「夜用」と記載された、就寝時の身体に合わせて設計された製品を選びましょう。より詳しい寝るとき専用の着圧レギンスの選び方や注意点については、こちらの記事で解説しています。
肌に合わない素材（”かゆみ”や”かぶれ”の直接的な原因に）
最後のケースは、血流とは少し異なりますが、肌トラブルに直結する「素材」の問題です。
着圧ソックスは、長時間肌に密着するものです。そのため、通気性の悪い化学繊維の素材などは、汗で蒸れてかゆみやかぶれを引き起こすことがあります。特に肌がデリケートな方は、素材選びが快適に使い続けるための重要なポイントになります。
「着圧ソックスは効果がない！」と感じる方へ。考えられる3つの原因
もし「着圧ソックスは効果がない」と感じているなら、考えられる原因は主に3つあります。ただ諦めてしまう前に、一度ご自身の使い方を見直してみましょう。
- 原因1▶︎ 製品が合っていない
そもそも、ご自身の足のサイズやむくみのレベルに合っていない製品を選んでいる可能性があります。まずは、正しい製品選びができているかを確認することが第一歩です。 - 原因2▶︎ 使い方が間違っている
製品は合っていても、履き方や着用時間が不適切だと、本来の効果を発揮できません。シワなく履けているか、推奨される着用時間を守れているか、振り返ってみましょう。 - 原因3▶︎ むくみの原因が他にある
着圧ソックスは、一時的なむくみには効果的ですが、病気が原因のむくみには対応できません。もし、むくみが何日も続いたり、足以外にもむくみを感じたりする場合は、一度専門の医療機関を受診することをおすすめします。
近藤 好美
ORIENTAL GREEN
サロンにいらっしゃるお客様の中にも、「色々試したけどむくみが取れない」という方がいらっしゃいます。お話を伺うと、セルフケアでは対応が難しいケースも少なくありません。
着圧ソックスはあくまで対症療法の一つです。「いつもと違うな」と感じるむくみは、身体からの大切なサインかもしれませんので、決して見過ごさないでくださいね。
失敗しない着圧ソックスの安全な選び方
ここからは、いよいよ実践編です。あなたの足に合った、安全で効果的な一足を見つけるための具体的な方法をお伝えします。もう製品選びで失敗する必要はありません。
ステップ1：「目的」で選ぶ｜医療用と市販品の違いとは？
まず、ご自身の目的が「治療」なのか「日常のケア」なのかを明確にしましょう。着圧ソックスには、大きく分けて「医療用」と「市販品」の2種類があります。
| 項目 | 医療用 | 市販品 |
|---|---|---|
| 目的 | 病的なむくみの治療・予防 | 日常的なむくみのケア |
| 圧力の基準 | 厳格な基準あり（30hPa以上も） | 明確な基準なし（比較的弱め） |
| 効果・効能の表記 | 「むくみの改善」など可能 | 効果・効能の表記は不可 |
| 購入場所 | 医療機関、専門店など | ドラッグストア、バラエティショップなど |
医療用は「一般医療機器」として認可されており、病的なむくみ（リンパ浮腫など）の治療や予防を目的としています。一方、ドラッグストアなどで手軽に購入できる市販品は、健康な人が日常的なむくみケアに使うことを目的としています。両者の違いを理解し、ご自身の目的に合ったものを選ぶことが大切です。
参照元：さいたま静脈瘤クリニック【「医療用」って何が違うの？】
ステップ2：「サイズ」で選ぶ｜一番大切なのは”正確な計測”
「履き口が痛い」というお悩みは、多くの場合、このサイズ選びで解決します。着圧ソックス選びで最も重要なのは、ご自身の足のサイズを正確に知ることです。
必ず計測すべきなのは「足首」と「ふくらはぎ」の一番太い部分の周囲径です。メジャーを使って、むくみが比較的少ない午前中に測るのがおすすめです。「S・M・L」といった曖昧な表記だけでなく、パッケージに記載されている「足首〇cm〜〇cm」といった具体的な数値と、ご自身の計測値を照らし合わせて選びましょう。
ステップ3：「圧力（hPa）」で選ぶ｜初心者は弱めの圧から
「履いたら足が冷える」と感じる方は、圧力が強すぎる可能性があります。圧力の単位「hPa（ヘクトパスカル）」の数値を参考に、ご自身に合った強さを選びましょう。
「圧が強ければ強いほど効く」というのはよくある誤解です。
近藤 好美
ORIENTAL GREEN
これは本当に多くの方が勘違いされているポイントです。「痛気持ちいいくらいが効く」と感じるかもしれませんが、身体にとっては負担になっていることが多いのです。
私がお客様の足を触らせていただく時も、常に「心地よいか」を一番大切にしています。着圧ソックスも同じで、ご自身が「心地よい」と感じる圧力が、今のあなたの身体にとっての正解なんですよ。
特に初めての方は、20hPa前後の弱めの圧力から試してみることを強くおすすめします。心地よいと感じる圧力が、あなたにとっての最適な圧力です。無理に強いものを選ぶ必要は全くありません。
- 初心者・リラックス用▶︎ 10〜20hPa程度
- 日中のデスクワーク用▶︎ 20〜30hPa程度
ステップ4：「タイプ・素材」で選ぶ｜利用シーンを考えよう
「履くと肌がかゆい」という方は、素材が肌に合っていないのかもしれません。最後のステップとして、利用シーンや肌質に合ったタイプと素材を選びましょう。
外出時にスカートと合わせるならストッキングタイプ、パンツスタイルの下ならハイソックスタイプなど、ファッションに合わせて選ぶのも一つの方法です。
また、肌がデリケートな方は、ナイロン素材だけでなく、綿混素材や、肌に触れる内側がシルク素材のものを選ぶと、快適に過ごせる場合が多いです。
【効果的な使い方】効果を最大化する正しい履き方と着用時間
自分に合った一足を見つけたら、次はその効果を最大限に引き出す「正しい履き方」をマスターしましょう。ほんの少しのコツで、履き心地も効果も格段にアップします。
着圧レギンスの基本的な履き方
シワなく均等に履くことが、効果を最大化する最大のポイントです。以下の手順を参考に、ゆっくり丁寧に行いましょう。
- たぐりよせる
履く前に、ソックスを足首のあたりまで両手でたぐりよせておきます。 - かかとを合わせる
つま先から足を通し、ソックスのかかと部分とご自身ののかかとを正確に合わせます。 - 少しずつ引き上げる
シワやたるみができないように、少しずつ、生地を均等に伸ばしながら膝下まで引き上げます。 - 最終チェック
最後に、シワが寄っていないか、履き口が膝下に食い込んでいないかを確認します。
守るべき注意点｜着用時間やお手入れ方法は？
製品の効果と安全性を保つためには、着用時間と日頃のケアも重要です。着圧レギンスをいつ履くのが最も効果的か、シーン別の最適な活用法も知っておくと、より効果を実感しやすくなります。
着用時間は、日中用であれば6〜8時間程度を目安にしましょう。ただし、これはあくまで一般的な目安です。必ず製品に記載された推奨時間を守ってください。また、少しでも痛みやしびれ、かゆみなどの異常を感じたら、我慢せずに直ちに使用を中止しましょう。
あなたの身体の感覚が、何よりも大切なサインです。
近藤 好美
ORIENTAL GREEN
3,000人以上の方の身体に触れてきて感じるのは、一人として同じ身体はないということです。説明書に書いてある時間が、必ずしもあなたに合うとは限りません。
少しでも違和感があれば、それは身体が「今はやめて」と教えてくれているサイン。ご自身の感覚を一番に信じてあげてくださいね。
着圧ソックスのよくある質問
最後に着圧ソックスに関するよくある質問に回答します。
Q1. 履くと足が細くなりますか？
はい、むくみが解消されることで一時的に細く見えます。
ただし、これは足に溜まった余分な水分が排出された結果であり、脂肪を減らすような直接的な痩身効果はありません。もし、むくみだけでなく脂肪やセルライトそのものにお悩みの場合は、アプローチ方法が異なります。
Q2. どのくらいの期間で効果が出ますか？
その日のむくみであれば、履いたその日の夕方には効果を実感しやすいです。ただし、着圧ソックスはむくみにくい体質に変えるものではないため、むくみが気になる日には継続的に活用するのがおすすめです。
Q3. 着圧レギンスやストッキングも、注意点は同じですか？
はい、基本的な注意点は全く同じです。サイズ選び、圧力、着用時間、そしてご自身の体調を最優先するという原則は、どのタイプの着圧製品でも変わりません。
Q4. 着圧ソックスが合わなかった場合、他にむくみ対策はありますか？
もちろんです。デスクワークの合間に足首を回したり、かかとの上げ下げをしたりするだけでも効果的です。また、夜はクッションなどを使って心臓より足を高くして休むのもおすすめです。
着圧ソックスだけに頼らず、簡単なマッサージや食事改善といったセルフケアも組み合わせてみてください。
まとめ
着圧ソックスのデメリットや危険性は、そのほとんどが誤った製品選びと使い方から生じます。この記事で解説したポイントを押さえれば、もう漠然とした不安を感じる必要はありません。
- 逆効果になる5つのケースを避ける
- 安全な選び方の4ステップを実践する
- 効果を最大化する正しい履き方をマスターする
この記事を読んだあなたは、安全に着圧ソックスを使いこなす知識を身につけました。ぜひ、最初の一歩として、ご自身の足のサイズを正確に測ることから始めてみてください。正しい知識を味方につけて、辛いむくみの悩みから解放され、軽やかな毎日を手に入れましょう。
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