長時間のフライトにおける着圧ソックスは、単なる快適グッズではなく、命に関わるリスクを避けるために「必要」な健康管理アイテムです。
この記事では、なぜ着圧ソックスが推奨されるのかという医学的根拠から、専門家が教える失敗しない選び方、そして効果を最大化する正しい使い方まで、あなたの疑問と不安をすべて解消します。
最後まで読めば、自信を持って自分に最適な一足を選び、安心して空の旅に出発できるようになるでしょう。
この記事の監修者
近藤 好美
ORIENTAL GREEN 銀座インディバ
オーナーセラピスト／インディバスーパーバイザー
セラピスト歴25年、インディバ施術歴20年以上の経験を持つ、身体のラインとコンディションを整えるプロフェッショナル。これまでに3,000人以上の身体の悩みに向き合い、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの施術を提供。
目次
【結論】長時間の飛行機なら着圧ソックスは「必要」
長時間のフライト、特に目安として4〜5時間を超える場合は、着圧ソックスの着用を強く推奨します。これは、年齢や性別、座席のクラスに関わらず、深刻な健康被害である「エコノミークラス症候群」を予防するための、最も手軽で効果的な自己対策だからです。
単なる足のむくみや疲れを軽減するだけでなく、その裏に潜む血栓症のリスクからあなたを守る、いわば「空旅のお守り」と言えるでしょう。
一方で、「着圧ソックスは逆に危険だ」という声を聞いて不安に思っている方もいるかもしれません。確かに、選び方や使い方を間違えると逆効果になる可能性もあります。
そうしたリスクを避け、安全に利用するためのポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
なぜ必要？飛行機で急増する「エコノミークラス症候群」の危険性
多くの方が心配される「エコノミークラス症候群」は、決して軽視できない病態です。
この病気の正式名称は「深部静脈血栓症」および「肺血栓塞栓症」といい、最悪の場合、命を落とす危険性もはらんでいます。飛行機の狭い座席で長時間動かない状態が続くと、足の血流が著しく悪化し、静脈に血の塊（血栓）ができてしまうのです。
この血栓が、立ち上がった際などに血流に乗って肺に到達し、肺の血管を詰まらせてしまうのが「肺血栓塞栓症」です。
こんな人は特に注意！エコノミークラス症候群のリスク度セルフチェック
エコノミークラス症候群は誰にでも起こり得ますが、特にリスクが高いとされる条件があります。ご自身の状態を確認し、一つでも当てはまる場合は、より積極的な対策を心がけましょう。
- 40歳以上である
- 肥満（BMIが25以上）である
- 妊娠中、または出産後間もない
- 経口避妊薬（ピル）やホルモン補充療法を受けている
- 過去に血栓症（深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症）にかかったことがある
- がんの治療中である
- 最近、大きな手術を受けた、または骨折などの怪我をした
- 日頃から足がむくみやすい
※参考: 厚生労働省検疫所（FORTH）「深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症（いわゆるエコノミークラス症候群）について」
近藤 好美
ORIENTAL GREEN
サロンにいらっしゃるお客様でも、このチェックリストに当てはまる方は本当に多いです。「私はまだ若いから大丈夫」と思っていても、実は生活習慣やホルモンバランスの影響で、足の巡りは滞りやすくなっているもの。
大切なのは、リスクを知って「自分ごと」として捉え、旅行前から体をいたわる意識を持つことですよ。
着圧ソックスがエコノミークラス症候群に効く医学的根拠（メカニズム）
着圧ソックスが予防に有効な理由は、足の筋肉の働きを助け、血流を改善する「段階的圧迫法」という設計にあります。
ふくらはぎの筋肉は、血液を心臓に送り返すポンプの役割を担っており、「第二の心臓」とも呼ばれています。しかし、長時間座ったままだとこのポンプ機能がうまく働かず、血液が足に滞ってしまうのです。
着圧ソックスは、足首部分の圧力が最も強く、ふくらはぎに向かって段階的に圧力が弱まるように作られています。この圧力の差が、滞りがちな静脈血をスムーズに心臓方向へ押し上げる手助けをしてくれるのです。
【最重要】失敗しない着圧ソックスの選び方｜3つのポイント
着圧ソックスの効果は、正しく選んでこそ発揮されます。数ある製品の中から自分に合ったものを見つけるために、以下の3つのポイントを必ず押さえてください。これさえ知っておけば、もう商品選びで迷うことはありません。
ポイント1：圧力（hPa）は「弱すぎず、強すぎず」が鉄則
製品選びで最も重要なのが「圧力」です。圧力の単位は「hPa（ヘクトパスカル）」で示され、この数値が着圧の強さを表します。飛行機での予防目的であれば、足首の圧力が15～25hPa（約11～19mmHgに相当）のものが一般的です。
圧力が強ければ良いというわけではなく、強すぎるとかえって血行を阻害したり、不快感の原因になったりします。
【テーブル：目的別・圧力の目安】
| 目的 | 足首の推奨圧力（hPa） | 特徴 |
|---|---|---|
| 日常のむくみ対策・軽い予防 | 10～20hPa | 履き心地が良く、初心者向け |
| 飛行機での予防（推奨） | 15～25hPa | 効果と快適性のバランスが良い |
| 医療用（医師の指示） | 30hPa以上 | 治療目的で使用。自己判断での使用は避ける |
ポイント2：サイズは「足首」と「ふくらはぎ」の太さが基準
普段履いている靴のサイズで選ぶのは絶対にやめましょう。
着圧ソックスは、足の太さに合わせて的確に圧力をかける必要があるため、「足首周り（最も細い部分）」と「ふくらはぎ周り（最も太い部分）」の2ヶ所をメジャーで正確に測り、その数値に合ったサイズを選ぶことが不可欠です。
サイズが合わないと、効果が得られないばかりか、部分的に強く締まりすぎて逆効果になることもあります。
近藤 好美
ORIENTAL GREEN
現場で見ていて一番もったいないと感じるのが、このサイズ選びの失敗です。「とりあえずMサイズでいいかな？」と、普段のお洋服と同じ感覚で選んでしまう方が本当に多いのですが、それではせっかくの効果が半減してしまいます。
ご自身の体のための大切な投資ですから、少しだけ手間をかけて、ぜひメジャーで測ってみてくださいね。そのひと手間が、旅の快適さを大きく左右します。
ポイント3：素材とタイプは利用シーンで選ぶ
長時間の着用を考えると、素材の快適性も重要です。汗を吸いやすく、通気性の良い綿混素材や、速乾性に優れた化学繊維などがおすすめです。
タイプについては、ひざ下までをカバーする「ハイソックスタイプ」が最も手軽で、飛行機での利用には十分です。脱ぎ履きのしやすさを考えても、このタイプが最適でしょう。
もう飛行機の足のむくみで悩まない。ベルミスで快適な空の旅へ
飛行機でのつらい足のむくみや重だるさ。そんな旅の悩みから、あなたを解放しませんか？その鍵は、多くの女性に選ばれる「ベルミス」の着圧レギンスです。
医学に基づく独自の段階着圧設計が、長時間同じ姿勢で滞りがちな血流を効果的にサポート。肌触りの良い快適な素材と、旅先でも気分が上がるスタイリッシュなデザインも魅力です。「もっと早く使えばよかった」との声も多数。
到着後の、今までにない足の軽さにきっと驚くはず。次の旅行はベルミスを相棒に、最高のコンディションで思いっきり楽しみましょう。
効果を最大化する！着圧ソックスの正しい使い方Q&A
せっかく良い製品を選んでも、使い方が間違っていては効果が半減してしまいます。よくある疑問にQ&A形式でお答えしますので、搭乗前に必ずチェックしておきましょう。
Q1. いつからいつまで履くのがベスト？
A. 飛行機に乗る直前、あるいは家を出る時から履き始め、飛行機を降りて目的地でしばらく活動するまで着用し続けるのが理想です。足がむくみ始める前に履くのがポイントです。
このように旅行中は大活躍の着圧アイテムですが、「普段はいつ履くのが効果的なの？」と疑問に思った方もいるでしょう。日常での最適な着用タイミングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
Q2. 正しい履き方は？
A. シワやたるみができないよう、均等に引き上げるのがコツです。
まずソックスをたぐり寄せてつま先からかかとまでを入れ、その後、ゆっくりと少しずつひざ下まで引き上げてください。無理に引っ張ると、生地を傷めたり、圧力が均等にかからなくなったりします。
Q3. 寝るときも履いたままでいい？
A. 基本的には履いたままで問題ありません。ただし、万が一、しびれや痛み、気分の悪さなどを感じた場合は、我慢せずにすぐに脱いでください。
Q4. どこで買えるの？
A. ドラッグストア、バラエティショップ、空港内の売店、各メーカーのオンラインストアなどで購入できます。品揃えの豊富さではオンラインストアが優れていますが、旅行直前であれば空港で探してみるのも良いでしょう。
相乗効果UP！着圧ソックスと併用したい5つの予防策
着圧ソックスの効果をさらに高め、より万全な対策をするために、以下の5つの行動をぜひ実践してください。
- こまめな水分補給:水やお茶を十分に飲み、血液がドロドロになるのを防ぎましょう。
- アルコールは控える:アルコールには利尿作用があり、体内の水分を奪って血栓ができやすくなるため、飲み過ぎは禁物です。
- 1〜2時間に一度は歩く:トイレに立つなど、少しでも機内を歩き、ふくらはぎの筋肉を動かしましょう。
- 座ったままできる足の運動:定期的に足首をぐるぐる回したり、かかとの上げ下げを繰り返したりするだけでも効果的です。
- ゆったりとした服装: 体を締め付ける服装は避け、リラックスできる服装を選びましょう。
近藤 好美
ORIENTAL GREEN
「こまめな水分補給」は、私たちセラピストがインディバの施術前後にお客様へ必ずお伝えする、巡りケアの基本中の基本です。
体の内側がカラカラでは、どんなに外からケアをしても効果は限定的。特に飛行機の中は想像以上に乾燥しています。
血液の巡りをスムーズに保つためにも、「少し喉が渇いたな」と感じる前に、こまめに水分を摂ることを意識してくださいね。
まとめ：正しい知識と準備で、空の旅を安全・快適に
この記事では、飛行機での着圧ソックスの必要性から、その医学的根拠、失敗しない選び方、正しい使い方までを詳しく解説しました。最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 長時間のフライトでは、エコノミークラス症候群予防のために着圧ソックスは「必要」
- 選ぶ際は「圧力（15～25hPa）」「サイズ（足首・ふくらはぎの実測値）」「素材」の3点が重要
- 搭乗前から着用し、シワなく正しく履くことで効果が最大化される
- 水分補給や軽い運動を組み合わせると、さらに予防効果が高まる
着圧ソックスは、あなたの旅行の質を左右する重要な投資です。この記事を参考に、ぜひあなたにぴったりの一足を見つけ、万全の準備で、心から安心して空の旅を楽しんでください。
