「この憎いセルライト、いっそ潰してしまいたい…!」
鏡の前で太ももやお尻のボコボコを見て、そう思った経験はありませんか?早く消したい一心で、自己流のゴリゴリマッサージを試している方もいらっしゃるかもしれません。
長年インディバ専門セラピストとして、多くの女性のお肌と向き合ってきた私から、まずお伝えしたいことがあります。そのケア、実はセルライトを悪化させる一番の原因かもしれません。
この記事では、なぜセルライトを潰してはいけないのか、その身体の仕組みに基づいた理由を徹底的に解説します。そして、私が現場で効果を実感してきた、安全で本当に意味のある”流して整える”正しいケア方法を具体的にお伝えします。

この記事の監修者
近藤 好美
ORIENTAL GREEN 銀座インディバ
オーナーセラピスト/インディバスーパーバイザー
セラピスト歴25年、インディバ施術歴20年以上の経験を持つ、身体のラインとコンディションを整えるプロフェッショナル。これまでに3,000人以上の身体の悩みに向き合い、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの施術を提供。
目次
セルライトを潰すのは逆効果!?今すぐやめるべき3つの理由
セルライトを潰す行為は、百害あって一利なしです。良かれと思って続けているそのマッサージが、あなたの肌の凹凸をより深刻にしている可能性があります。
なぜ、潰してはいけないのか。その主な理由は、以下の3つです。
一つずつ、詳しく見ていきましょう。
理由1:内出血や色素沈着(アザ)の原因になる
潰す行為は、まず内出血やアザを確実に作ります。強い力で皮膚を圧迫すると、皮膚の下にある毛細血管が簡単にプチプチと切れてしまうからです。これが、いわゆる青アザの正体です。
さらに問題なのは、そのアザが治った後。内出血の跡が、茶色いシミのような「炎症後色素沈着」として肌に残ってしまうケースが非常に多いのです。セルライトを消そうとした結果、消えないアザやシミを作ってしまっては本末転倒ですよね。
参考元:エステサロン フェイバリックスグループ「セルライトをつぶすとあざが!これって大丈夫!?」
理由2:皮膚組織を傷つけ「線維化」を招く
潰す行為は、皮膚組織を硬くする「線維化(せんいか)」という現象を引き起こします。これは、肌にとって非常に深刻な問題です。
強い刺激を受けた皮膚は、自分を守ろうとしてコラーゲン線維を過剰に作り出します。この結果、皮膚組織が古くなったゴムのように弾力を失い、硬く、癒着した状態になってしまうのです。
一度線維化してしまった組織は、血行やリンパの流れをさらに妨げます。これにより、セルライトがより頑固で、解消しにくい状態へと悪化する悪循環に陥ってしまうのです。

近藤 好美
ORIENTAL GREEN
実際に、自己流の強いマッサージを長年続けた方の肌は、表面がゴワゴワと硬くなり、奥で組織が癒着してしまっているのを、これまで3,000人以上のお体をみてきた中で何度も目の当たりにしてきました。
一度こうなると、私たちがインディバで深部から温めても、ほぐれるまでに通常よりずっと時間がかかってしまいます。それほど「線維化」は根深い問題なのです。
理由3:リンパ管を破壊し、むくみを悪化させる
潰す行為は、老廃物を排出する「リンパ管」を破壊します。リンパ管は、皮膚のすぐ下にある非常に繊細な管です。これを強い力で圧迫することは、ゴミ収集システムを自ら壊しているようなもの。
老廃物の排出ルートが絶たれると、行き場を失った水分や老廃物がその場に溜まり込み、むくみやセルライトをさらに悪化させます。
そもそも、なぜ足はむくんでしまうのでしょうか。立ち仕事やデスクワークなど、ライフスタイル別の原因と対策について、以下の記事で詳しく解説しています。
参考元:国立がん研究センター「リンパ浮腫」
既に潰してしまった方の対処法
ここまで読んで、「もう潰しちゃった…」と不安になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。早く消したい、なんとかしたい、というその焦る気持ちは、セラピストとして痛いほどよくわかります。
でも、安心してください。大切なのは、今日この瞬間から、その行為をやめることです。人間の身体には素晴らしい回復力が備わっています。間違ったケアに気づき、今日から正しい知識でご自身の身体を大切に扱ってあげれば、身体は必ず応えてくれます。

近藤 好美
ORIENTAL GREEN
サロンにいらっしゃるお客様からも、「今までずっと潰していました…」と打ち明けられることが本当に多いんですよ。
でも大丈夫、決してあなただけではありません。大切なのは「過去の間違い」より「未来の正しいケア」です。気づけた今が、ご自身の身体を本気で変える最高のタイミングですよ。
もし潰してアザや痛みが出たら?まずすべきこと
潰した直後で熱感や痛みがある場合は、まず冷たいタオルなどで優しく冷やして(アイシング)、炎症を鎮めましょう。そして、アザが引くまでは、その部分へのマッサージなど、さらなる刺激は絶対に加えないでください。
もし痛みが数日経っても引かない、アザが広範囲にわたる、といった場合は、一度皮膚科など専門の医療機関に相談することをおすすめします。
そもそもセルライトとは?正体を知れば「潰す」が無意味だとわかる
なぜ「潰す」ケアが無意味なのか。それを本当に理解するために、少しだけセルライトの正体について学んでみましょう。この知識が、今後のあなたのケアを正しい方向へ導いてくれます。
セルライトの正体は「脂肪細胞」と「老廃物」の塊
セルライトは、単なる脂肪ではありません。その正体は、肥大化した脂肪細胞に、排出されなかった老廃物や余分な水分が絡みついて、塊になったものです。
この塊が皮膚を下から押し上げることで、肌表面にあの特有の凹凸が現れます。これが「オレンジピールスキン」と呼ばれる状態です。つまり、この塊をただ上から潰しても、中身の老廃物や脂肪が消えてなくなるわけではないのです。
セルライトができる4大原因
では、なぜこのような塊ができてしまうのでしょうか。主な原因は以下の4つです。
- 血行不良・リンパの滞り
これが最大の原因です。血流が悪いと細胞に栄養が届かず、老廃物も排出されにくくなります。 - ホルモンバランスの乱れ
特に女性ホルモンは、脂肪の蓄積や水分保持に影響を与えます。 - 食生活の乱れ
糖質や脂質、塩分の多い食事は、脂肪を増やし、むくみを引き起こします。 - 運動不足
筋力が低下すると、基礎代謝が落ち、血流を促すポンプ作用も弱まります。
これらの原因を見れば、「潰す」という行為が、いかに対症療法ですらなく、根本原因の解決からかけ離れているかがお分かりいただけると思います。

近藤 好美
ORIENTAL GREEN
セルライトの根本原因である「血行不良」。マッサージや運動はもちろん大切ですが、多忙な毎日の中で、まずはこれ以上悪化させないための「守りのケア」を始めることが、改善への一番の近道です。
特に、長時間のデスクワークや立ち仕事で、ご自身の脚の重さで巡りが滞りがちな方は、履くだけで脚の巡りをサポートする設計の着圧レギンスを取り入れるのがおすすめ。
本気でセルライトを改善する正しいアプローチ
ここからは、あなたのセルライトケアを今日から変えるための、具体的な解決策をお伝えします。
アプローチは大きく分けて「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」の2つ。まずはご自身でできることから始めてみましょう。
項目 | セルフケア | プロフェッショナルケア |
---|---|---|
効果 | 緩やかに改善・予防 | より早く、根本的な改善が期待できる |
費用 | 低コスト(0円〜) | 比較的高コスト(1回数千円〜数万円) |
即効性 | 低い(継続が必須) | 比較的高い(施術による) |
持続性 | 生活習慣として続ければ持続 | 定期的なメンテナンスで持続 |
おすすめな人 | まずは自分で試したい人、予防したい人 | 早く結果を出したい人、セルフケアで限界を感じる人 |
まずは自宅で始める「セルフケア」3つの基本
セルライトケアの基本は、毎日の生活の中にあります。特別なことではなく、今日から始められる3つの習慣をご紹介します。
1. 血行促進と排出を促す「リンパマッサージ」

セルライトケアのマッサージは、潰すのではなく「流す」のが鉄則です。バターを常温でじんわり溶かすような、優しく、丁寧なタッチを心がけてください。
- 必ずオイルやクリームを使う
肌滑りを良くし、摩擦による刺激を防ぎます。 - 末端から中心へ
必ず足首や手首など、心臓から遠い末端から、リンパ節(ひざ裏、脚の付け根、脇の下など)に向かって一方向に流します。 - 痛みはNG
「痛気持ちいい」は強すぎのサイン。「気持ちいい」と感じるくらいの優しい圧で行いましょう。
2. 体の内側から変える「食事改善」

あなたは、あなたの食べたものでできています。セルライトを改善するには、外側からのケアと同じくらい、内側からのケアが重要です。
積極的に摂りたいもの | 役割 | 具体的な食材例 |
---|---|---|
カリウム | 余分な塩分と水分を排出 | きゅうり、アボカド、バナナ、海藻類 |
ビタミンB群 | 糖質・脂質の代謝を助ける | 豚肉、レバー、うなぎ、玄米 |
食物繊維 | 腸内環境を整え、排出を促す | ごぼう、きのこ類、オートミール |
良質なたんぱく質 | 筋肉を作り、代謝を上げる | 鶏胸肉、魚、大豆製品、卵 |
逆に、スナック菓子や加工食品、甘いジュースなど、糖質・脂質・塩分の多い食事は、セルライトの”エサ”になるので、少しずつ控える意識を持ちましょう。
体を温める生姜やスパイスを料理に取り入れたり、1日に1.5Lの常温の水をこまめに摂ったりすることも非常に効果的です。
3. 代謝を上げる「エクササイズ」
運動は、血行を促進し、代謝を上げるための最も効果的な方法の一つです。
- 有酸素運動
ウォーキングや軽いジョギングなど、20分以上続けることで脂肪燃焼効果が高まります。 - 筋トレ
特に下半身の大きな筋肉を鍛える「スクワット」は、代謝アップに非常に効果的です。 - ストレッチ
長時間同じ姿勢でいることが多い方は、こまめにストレッチをして筋肉の緊張をほぐし、血流を促しましょう。お風呂上がりのストレッチは特にオススメです。

近藤 好美
ORIENTAL GREEN
ご紹介した運動やストレッチ。せっかくなら、その効果を最大限に引き出したいですよね。そんな時におすすめなのが、運動中の着用も想定して作られた着圧レギンスです。
「ベルミス」は、運動時の筋肉のブレを抑えつつ、快適な履き心地でパフォーマンスをサポートしてくれます。「いつもの運動+ベルミス」で、効率的に理想のボディラインを目指しませんか?
セルフケアのより詳しいマッサージ方法や、むくみ対策に特化した食事について知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
より早く、確実に効果を出したいなら「プロフェッショナルケア」
「セルフケアだけでは限界を感じる」「もっと根本的に、早く結果を出したい」という方は、プロの力を借りるのも賢い選択です。
1. エステサロンで受けられる施術

エステサロンでは、専用のマシンを使ってセルライトにアプローチします。
私が専門とする「インディバ」もその一つです。インディバはラジオ波の一種ですが、身体の表面から熱を加えるのではなく、体内の細胞自体に熱(ジュール熱)を発生させる「深部加温」が最大の特徴です。
これにより、表面的なケアでは届かない頑固なセルライトの根本原因にアプローチし、血行やリンパの流れを促進、基礎代謝を高めて老廃物が排出されやすい身体へと整えていきます。
その他にも、脂肪細胞にアプローチする「キャビテーション」や、揉みほぐしと吸引を行う「エンダモロジー」など、様々な施術があります。体験メニューなどを利用して、自分に合ったサロンや施術を見つけるのが良いでしょう。
参考元:インディバ・ジャパン「高周波温熱機器について」
2. 美容クリニックで受けられる医療痩身
美容クリニックで行われる医療行為もあります。脂肪細胞を破壊する「衝撃波治療」や「脂肪溶解注射」、物理的に脂肪を取り除く「脂肪吸引」などです。
これらは医師の管理下で行われ、より高い効果が期待できる一方、費用やダウンタイム(回復期間)なども考慮する必要があります。興味がある方は、信頼できるクリニックでカウンセリングを受けてみることをお勧めします。
セルライトに関するよくある質問
最後に、お客様からよくいただく質問にお答えします。
Q1. セルライトは一度できたら、もう消えませんか?
「完全に消す」というより「目立たなく、滑らかに整える」という表現が適切です。
セルライトは体質的な要素も関わるため、ゼロにするのは非常に難しいのが現実です。しかし、私の経験上、この記事でご紹介したような正しいケアを根気強く続けた方のほとんどは、数ヶ月後には肌の凹凸が滑らかになり、見た目の変化に驚かれます。
「消す」ことに固執するより、ご自身の身体が心地よく、健康に整っていく変化を楽しんでほしいと思います。
Q2. 市販のマッサージローラーや筋膜ローラーは効果がありますか?
はい、血行促進の補助としては有効です。ただし、これも「潰す」のではなく「優しく転がす」のが大前提。ゴリゴリと力を入れすぎると、やはり組織を傷つける原因になります。あくまで、この記事で紹介した手による優しいマッサージの補助として、上手に活用してください。
Q3. どのくらいの期間で効果を実感できますか?
人の身体が変わるには、ある程度の時間が必要です。体質やセルライトのレベルにもよりますが、セルフケアの場合、最低でも3ヶ月は一つの目安として続けてみてください。焦りは禁物です。大切なのは、一喜一憂せずに、正しいケアを新しい生活習慣として無理なく取り入れていくことです。

近藤 好美
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なぜ「3ヶ月」かというと、これは身体の細胞が新しく生まれ変わるサイクルが一つの目安だからです。焦るお気持ちはよく分かりますが、魔法はありません。
サロンにいらっしゃるお客様にも「”昨日の自分より、今日の自分”の小さな変化を見つけるのが、楽しく続けるコツですよ」とお伝えしています。例えば、「今日は昨日よりむくみが少ないかも?」それで大正解。その積み重ねが、3ヶ月後の大きな変化に繋がります。
Q4. マッサージ中に「ブチブチ」と音がするのですが、これはセルライトが潰れている音ですか?
いいえ、それはセルライトが潰れている音ではありません。マッサージによる摩擦音や、老廃物が流れる際の組織音と考えられています。
音が鳴ることと、ケアの効果は全く関係ありません。むしろ、音を鳴らそうと強く押しすぎることは、この記事で解説したように肌を傷つける原因となります。「音がする=効いている」という誤解について、詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひご一読ください。
セルライトケアの第一歩は「潰さない」と決めること
この記事でお伝えしてきたことを、最後にもう一度まとめます。
- セルライトを潰すのは絶対にNG。内出血や組織の線維化を招き、状態を悪化させるだけです。
- セルライトの根本原因は、血行不良や老廃物の蓄積です。
- 正しいケアは、潰すのではなく「流す」意識の優しいマッサージ、そして食事と運動による内側からの改善が基本です。
- 自分一人で難しい場合は、プロの力を借りるのも効果的な選択肢です。
あなたの身体は、あなたが思っている以上に素晴らしい可能性を秘めています。間違った情報に振り回されるのは、今日で終わりにしましょう。
ご自身の身体を大切に、いたわるように、正しい知識でケアを続けていくこと。それが、滑らかで美しいボディラインへの、唯一にして最短の道です。この記事が、あなたの前向きな一歩に繋がることを心から願っています。